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名古屋高等裁判所金沢支部 昭和27年(う)209号 判決

弁護人A、同B、同Cの論旨第一点(補充申立書記載の分を含む)、弁護人Dの論旨第一点、弁護人Eの論旨第一点について。

原判決挙示の証拠、殊に、押収に係る金沢鉄道管理局事務分担表(証第一号)の記載、原審第四回公判調書中証人畠中晃男、原審第七回公判調書中証人筒見俊夫の各供述記載によれば、金沢鉄道管理局施設長付電気主幹たりし被告人会田信吉及び同電気主幹付工事主席たりし被告人米本武男が、それぞれ、原判示通りの職務権限を有していたものであることを肯認するに十分である。すなわち、これ等の証拠によつて、金沢鉄道管理局に於ける事務分掌の概要を観察するに、(一)業務全般の総括主宰者たる局長(職制改正前は管理部長)の下に、施設長、輸送長、車両長、信号通信長、厚生職員長等の職制があつて、これ等の地位に在る者は、それぞれ、所管事務について局長を補佐し、又は、委任により其の職務を代行するものであること、(二)施設長の下には、電気主幹、管理主幹、保線主斡等があり、これ等の者は、それぞれ、所管事務について施設長を補佐し、其の命を承けて所管の事務を執行するものであること、(三)電気主幹の下に、電気主幹付工事主席と称せられる地位が存し、此の職にある者は所管事務について電気主幹の執務を補助するものであることを各認定するに足り、さらに、前記の証拠に基いて、電気主幹並に電気主幹付工事首席の職務権限を検討すれば、電気主幹は、金沢鉄道管理局管内に於ける一切の(1)電気工事(2)電気関係施設の保全(3)電力の需給調節等に関する諸般の事務を掌理するものであつて、(A)工事の設計及び竣工検査、電気設備の調査及び試験、電灯、電力工事の計画其の他、事務分担表によつて予め定められた各種の事項、並に、(B)工事請負人の指名に関する意見の具申、入札手続に対する立会の形式に依る関与等、上司によつて命ぜられた諸般の事項を処理するに止まらず(C)叙上の(1)電気工事、(2)電気関係施設の保全、(3)電力の需給調節等に関する相当広汎な所管事務の全般に亘り、必要と認める場合には、自己の意見を上司に具申し、もつて上司の職権の発動を促す職責を負うているものであること、右(C)の点につき更に詳説すれば、電気主幹は、電気工事が設計通り施行されたか、工事の監督方法は適当であつたか、電気主幹以外の者が竣工検査をした場合、該検査員の検査は、果して適正であつたか否か、検査に合格した工事であつても、其の後実際にこれを使用して見た場合、不都合はないか、耐久力其の他必要な性状に不備若しくは欠陥がないか等の点について、自己の技術的見地から、必要ありと認める限り、何時でも、其の意見を上司に具申する職権職務を持つものであること、電気主幹付工事主席は、電気工事に関する事項の全般に亘り、電気主幹の事務を補助するものであり、必要と認めた場合には、これ等の事項に関する自己の意見を上司に具申する職権職務を有するものであることをそれぞれ肯認することが出来る。そうして見れば、金沢鉄道管理局施設長附電気主幹たりし被告人会田信吉及び同電気主幹附工事主席たりし被告人米本武男はいずれも、原審認定の通り、同局管内電気関係諸工事につき、請負業の指名、工事の監督、竣工検査等に関する職務権限を有していたものであることが明かであつて、原判決は事実を誤認したものでないから、論旨は理由がない。

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